2022年9月17日公開
奇想天外映画祭2022
主催
提供:アダンソニア
今回のラインナップは、まずジェーン・バーキン主演、ジョージ・ハリスン音楽『ワンダーウォール』(68)。イギリス時代最後の主演作となったバーキンはセリフ一切なし。ただ覗かれるだけの不可思議な役どころ。音楽はサントラ盤が最初のアルバム「不思議な壁」となったザ・ビートルズのジョージ・ハリソンが担当。インド・テイストのサウンドが全編に響き渡る。『レッド・ツエッぺリン/強熱のライブ』のジョー・マソットのサイケデリックなデビュー奇作。
また、本年が生誕110年となる<ジョルジュ・フランジュ>から2本。怪奇と幻想と恐怖に満ちたフランジュのホラー映画史に残る傑作『顔のない眼』(59)、テンプル騎士団の秘宝を狙って、“赤い仮面”の男が率いる仮面軍団とゾンビ軍団が共闘して挑む、フランジュのカラー作品にして遺作『赤い夜』(74)。<ラテンアメリカ>から、ひたすらアナーキーな世界に邁進する主人公の情念とパワーが画面にほとばしり見るものを圧倒する“シネマ・ノーヴォ”の傑作グラウベル・ローシャ『狂乱の大地』(67)、そして、メキシコ時代のブニュエル・ワールド満載の逸品、ルイス・ブニュエル『昇天峠』(75)。そして、ノワール作品が2本。『死刑台のエレベーター』とマイルス・デイヴィス、『大運河』とMJQなどノワール+ジャズの流れで登場した、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズが音楽を担当したエドウアール・モリナロ『殺られる』(59)。クライマックスのカーチェイス・シーンは伝説になっているアンソニー・マン・ノワールの傑作『サイド・ストリート』(50)。そして今年の7月に亡くなったイギリスの偉大な演出家であり映画監督ピーター・ブルックを追悼し、神秘思想家グルジェフの自伝を映画化した『注目すべき人々との出会い』(79)を特別上映する。そして、昨年の好評を博したアンコール作品としては、デルフィーヌ・セイリグ主演、ハリー・クーメル監督『赤い唇』、ジョン・ウオーターズの初長編作『マルチプル・マニアックス』を上映。
そして、今年の目玉作品がスラヴァ・ツッカーマン『リキッド・スカイ』だ。小さな宇宙船がニューヨークに着陸する。エイリアンたちは麻薬による陶酔を求めて、ヘロインからさらには人間のオーガニズム絶頂期に脳内で分泌される快楽物質を追い求めている。息をのむばかりの美と輝き。奇怪で気取ってそれでいてきらびやかな世界。痛快で“ぶっ飛んだ”『リキッド・スカイ』はカルトの枠を超えた唯一無二の作品として鮮やかに光り輝く。今回40周年記念として4Kレストアされた『リキッド・スカイ』デジタル・リマスター版を是非お見逃しなく!